・話をしよう
これは私にとってはつい昨日の出来事だが、君達にとっては多分、明日の出来事だ。
いや、もっと先の事かもしれないな。
…とにかく、長い人生の中でエウリアンと戦う機会が一度もないとは言い切れない。
心して聞くことだ。
19:30頃だっただろうか。
この辺↑を歩いていたら、店の入り口付近でチラシ配りに声をかけられた。
いつもならチラシなどスルーするのだが、こいつはやたらとしつこかった。
仕方なくチラシを貰う。
店員A(チラシ配り)「ありがとうございます!」
これが可愛いメイドカフェのお姉さんなら不細工なりに軽く微笑んでみせるのだが、こいつは違った。
店員A「お勤め帰りですか?」
俺「はい?」
話しかけられてしまった。
私自身、身長が低いということもあり社会人に間違われることなどまずないのだが…。
店員A「学生の方とのギリギリのところかと思って…。お勤めですよね?」
俺「ええ…まあ…(学生だって否定するのも面倒だし)」
…ってか、社会人に間違えられるというのは喜ぶべきなのか?まあいいけどさ。
思えばもうこの時からエウリアンとの心理戦はスタートしていたのかもしれない。
店員A「今日お客さん少なくて…。ここにお店あるのに誰も気づかないんですよね…。」
まあそうだろうな。中央通りとはいえちょっと外れた位置にある。チラシでも貰わないとそこに店があるということなど気づかなかっただろう。
俺「で…これは何ですか?」
貰ったチラシを何気なく見る。
「展示即売会」の招待チケットだった。
悟った。もしかしたらやっちまったかもしれない。
闇の気配を感じます。
店員A「絵とか興味ないですか?」
あー、やっぱそっち系だ。
これが噂に聞く「絵画商法」ってやつなのか。
「すまない興味がないんでね」とでも言ってさっさとその場から立ち去りたいと思ったわけだが、残念ながら言葉巧みにやられ、店員Aと共に店内に入ることとなってしまった。
一階はグッズの販売コーナー。
ここだけ見ると特に何も無い「普通のお店」という感じだ。
絵画のポストカードのようなものが売られているのがわかった。
が、それ以上観察することはできなかった。
店員Aが一方的に話し続けるため、そのような余裕はどこにもなかったのだ。
ついさっきチラシだと思って貰ったばかりの招待状をその場で回収され、展示即売会の来客名簿のようなものに個人情報を書かされることとなる。
いよいよヤバいかもしれない。いや、これはヤバいところに来てしまった。
しかしこのまま帰るという雰囲気ではなかった。
もちろん強行的に帰ってもよかったのだが、自分の中の何かがそれを止めた。人間性なのか。
店員A「じゃあここに名前を…住所は都道府県とか面倒なので市町村からでいいですよ」
名簿にはもちろん「鎌田千春」という偽名を書いた。その場の思いつきだった。
会社勤めという設定にしたため会社員に丸をつける。
さて業種はどうしようか。
とっさだったので若干焦りはしたが、鎌田という偽名から金属を連想、製造業と記入。
店員A「製造業ですか?!何作ってるんですか?」
俺「ああ、金型の切削加工をやっておりまして…。」
自分のポーカーフェイスっぷりに感激した。
電話番号もデタラメなものを書いた。
展示即売会は二階でやっているとのことだった。というより、すぐに案内された。
一階で粘って自然に外に出てやろうと思ったが、それは不可能だった。
こうなったらしばらくは相手の作戦に乗り、ここぞという時に相手の隙を突くしかない。
二階へ上がる、いや上がらされると絵画がずらり。
最初に見せられた絵がこれだ。
店員A「これ普通の絵だと思うでしょ?」
俺「はい。絵じゃないんですか?」
店員A「これ実は版画なんですよ。」
俺「へー!」
店員A「版画っていうと白黒とか和風のイメージですよね?」
俺「そうですね。小学校だったかやりましたよ版画。」
店員A「それがこうなるわけですよ。」
俺「すごいですね…。」
ここは聞く側になる。相手をしゃべらせる。相手のペースに任せる。
店員Aがこの版画の作り方について熱心に説明を始める。
シルクで版画をやっているとかイギリスの絵師の作品だとか薬品を使って版画に色をつけているだとか言っていた。
私はその話を聞きつつ、絵に魅せられた人を演じる。
そして絵の細部を見つめる。
値札を発見した。
「7万円」の文字。値札は見えにくい場所に小さな文字で書かれている。なるほど。
話は続く。
作るのには長いと半年くらいはかかるだのなんだの。
半年はむしろ短いくらいじゃないのか?などと思いつつ、次の絵へと進む。
ふと一枚の絵が目に止まった。
どこかで見たことあるような…。思い出せない。どこで見たっけか…。
店員A「もしかして見覚えありますか?」
俺「いや、どっかで見たことあるような気がするんですけど…。カレンダーかなんかになってたりします?」
店員A「こういう構図って結構多いですからね。この絵師は海をモチーフにした版画を多く作ってたりします。もしかしたら同じ絵師の違う作品かもしれませんね。」
ばあちゃん宅だったっけかな…もしかしてばあちゃんもこの手の絵買ったのかな…?
一方そのころ、展示スペース内の椅子に座った男性店員Bと男性客が商談っぽいことをしているのに気づいた。
店員B「私は買うことを前提に…」
男性客「……。」
語り口は優しかったが、男性客は明らかに萎縮していた。
(一応言っておきますが、詐欺または脅迫によって結んだ契約は取り消すことが可能です。またクーリングオフも有効な手段だと言えますね。)
ああなったらアウトだなとその取引を横目に見つつ、もう一つ空いた椅子を発見。
あれに座るわけにはいかない。座ったら逃げ場所もない。
イスと適切なマージンをとりつつ、一通り絵を見る。絵は10枚くらいだっただろうか。
ここにくると絵一枚一枚説明は受け流していた。それでも怪しまれないよう「ここはどんな方法で表現しているのか?」などと所々質問する。
そしてブースを一巡。
店員A「この中でどれか一枚買うことができるとしたら、どれが欲しいですか?」
こいつ間違いなくそっち系だ。適切なマージンを取ろう。
俺「いや、買わないよw」
とりあえず「買わない」という意思表示。予防線一本を張った。
この時に目は合わせない。合わせてはいけない。
作品に興味を持ち、絵に夢中になっている人を演じる。
それと同時に逃げ場となる階段に一番近い絵に近づく。
急に店員Aに経済状況について聞かれる。
もしかしたらそのまま逃げられるとでも思ったのかもしれない。
店員A「実家暮らしですか?一人暮らし?」
俺「一人暮らしなんですよね…」
まあバリバリ実家暮らしなのだが、経済状況がアレだから買えないという予防線二本目を張る。
店員A「一人暮らしですか…私実家なんですよねー。」
「てめーのことは聞いてねーよ」とは思ったが、ここはそういう場面ではない。
一人暮らしの苦労話をわからないなりに軽くしつつ、階段の手すりに自然に身体を預ける。
それを見て店員Aは更に焦ったのか
「理想のお部屋があったとしたら、この中でどの絵を飾りたいですか?」
おいその質問さっきもしたろ。そこはもっと気の利いた話術使えよ。
俺「一人暮らしだと部屋狭いんすよ…wはははw」
まだ手すりから離れない。絶対に譲らない。
店員A「でも!もし!理想のお部屋ですよ!ほら、ファンタジーですよ。値段とか部屋の大きさとか今の状況なんかは何も考えずに!」
あくまでこの一点張りか。もっと工夫できないのかなどと向こうの心配もできるだけの余裕はできてきた。
しかし、ここで質問の答えをぼやかすのは微妙だ。時間の問題だ。
おそらく、ここでは「買うとしたら」と聞きつつも、「買うことを前提に話をしていた。今更引くことはできない。」なんていうことを言って、最終的にはお偉いさんの男が出てきて無理矢理買わせるつもりなのだろう。
もちろん、私は法学を学んでいるから売買契約は両者の意思と意思の合致によるものだと理解しているし一歩も譲る気はなかったが。
この「あくまでも『買うとしたら』という一点張りの誘導尋問から抜け出すのは難しそうだ。
ここはその誘導尋問に乗るとしよう。
だが、あくまでもこのフェーズで二階から脱出をする。絶対に。
手すりに寄りかかりつつ、二階にある絵をとりあえずざっと見返すかのように全て見る。
そこで私は、この中にはカラフルな絵が多いが、逆に言えばモノクロ調の絵は一枚も無いということに気づく。
それを利用しよう。一気に逆転を図る。
俺「ここには買いたいと思う絵ないですけど、たしかさっき一階の方に『これだ!』って思う作品があったんですよねー。」
とりあえずまだ健全であろう一階への避難を図る。
が、一階に行こうとすると軽く服を引っ張られる。こいつ本気だ。
店員A「この絵じゃないですか?」
二階にあるモノクロと言うには少し難しい絵を見せられる。
俺「いや違うんだ…もっとモノクロな感じの…」
ここにきて芸術的な拘りにはうるさそうな職人面をしてみる。
制止を自然に振り払い、一階へ。うまいこと二階からの脱出に成功した。
一階にはさっきまでいなかった女性スタッフが二人。
彼女らは二階で起こった出来事などまるで知らないかのように普通の店員の姿態度をしている。
その顔でバーガーを売っていてもおかしくはない。
一階の作品を見る。とはいえ、一階には一枚1000円相当のポストカードくらいしか置いていない。
最悪、モノクロ調のポストカードの一枚買わされるくらいの覚悟はしていた。
1000円なら社会勉強代として割り切れる。
店員A「モノクロの絵…これですか?」
一階の安ーい絵を見せてきた。どうやら諦めてくれたようである。
だがあくまでも買わない。金の一銭も払う価値はない。
一階に降りてからは店員につきまとわれるということはなかった。
そのままポストカードもロクに見ずに出口へ。というわけだ。
・捜査
…とまあ、なんとか撃退に成功したわけだが、金銭面のダメージは皆無とはいえ、秋葉原での貴重な時間を奪われた恨みは何物にも代えられないものがある。
この絵画商法をした業者はどんな輩なのか興味を持ち、徹底的に潰してしまいたいと考えた。
まず、GoogleMapsのストリートビューで場所の割り出し。
こいつが出てきた。
この画像の撮影時期は2013年7月。こんなに前からあったのかこの店。
画像よく見てみる。入り口付近に絵が飾られていることがわかる。
これが一つの手がかりになる。
住所サイドの情報だけでは実態の理解が不十分なため、今度は版画そのもののサイドからつきとめる。
見てきた版画を思い出す。
たしかイギリスの絵師でシルクを使っていて…ラ行で始まる名前だったような…。
ここは版画の技法から調べよう。
シルクを使った技法について調べる。
あった。これだ。シルクスクリーン。
シルクスクリーンは、孔版画の技法の一種であり、インクが通過する穴とインクが通過しないところを作ることで版画の版を製版し、印刷する技法である。
(中略)
美術商の視点からは、複製可能な版画は油絵や水彩画などの一点物の絵画よりも希少価値が低いため、比較的安価で売買されることが多い。しかしながら、そのまま版画作家の価値が低いことを意味するわけではない。
ギャラリーや展示会の会場などにおいて、美術品の相場価格を知らない人に対して絵画を市場価格と比べて高額な値段で販売しようとする、いわゆる絵画商法が悪徳商法の一つと言われている。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%83%AB%E3%82%AF%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%B3から引用
次に、シルクスクリーンを使った絵師の作品を画像検索。
作風の似たものをいくつか洗い出し、それらを販売する一つの会社に行き着いた。
それが「アールブリアン」という会社だ。
アールブリアンHP http://www.artbrillant.co.jp/
アールブリアン準公式ページ http://artbrillant.web.fc2.com/
そこから今度は「アールブリアン」で検索する。
すると関連ワードで「アールブリアン 処分」やら「アールブリアン クーリングオフ」やらが出てきた。
どうやらこれまでにも問題となったことが多々あったが、それでもまだ営業を続けているようである。
ここまでである程度の情報は揃ったが、実際に入った店がアールブリアンであるという決定的な証拠はまだ揃っていない。
というのも、GoogleMapsには店の名前は出ていないし、ストリートビューの画像を見ても店には看板のようなものが一切なかったからだ。
そこでストリートビューの画像に写っていた入り口付近の絵に注目する。
この絵と同じものをアールブリアンが取り扱っていれば、この店がアールブリアンであるという決定的な証拠になる。
そこでアールブリアンのHPをくまなく捜索。
そして発見。
完 全 に 一 致
場所は、千代田区外神田3-16-13日進ビル一階及び二階
間違っても自分から入ることはないだろうから店そのものに注意する必要はないが、この付近でしつこくチラシを配ってくる輩がいたら注意する必要があるだろう。
因みに私が遭遇したチラシ配りは自称25歳の女性。
大学生風で服装はスーツ、髪は黒髪セミロング、黒縁のメガネをしていた。
他に女性スタッフが二名いたが、残念ながらその特徴までははっきり覚えていない。
私は実際に被害にあったわけではないが、やはりこのような店が私の好きな秋葉原にあることは許せない。
いや、どこにあろうと、芸術を法外な値段で無知な人間に売りつけて金を巻き上げるという行為自体、芸術を馬鹿にしている。
芸術には全く無縁な私でもそんなことはわかる。いい加減にして欲しい。



http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2011/03/20l39400.htm
店員:お仕事中ですか?
私:いえ、無職です。
店員:そうですか〜。。。
店員:どうです?どの絵が一番好きですか?
私:全部。
店員:え〜!?
私:全部今日持って帰るから、包んで!
店員:そんなにお金もちなんですか?
私:いいから包んで。全部?
店員:本気ですか?
私:うん、包んでくれたら、キャッシュで払うから。今。
店員:えーっ!
私:ほら、1000円。
店員:え?
私:ここにあるすべての絵は全部で1000円と私は判断したから。絵というのは、芸術であるから、金額ではなく、買う側の価値判断で決まると信じてます。よって、このスバラシイ絵を1000で持って帰りたいのです。早く、包んで。
店員:あの、その、え、ちょっと待っていてくださいね。
店員B:ごめんなさい、1000では売れませんのですが。価格が決まっているので。
私:価格なんて、値切って当たり前のことですよ、関西などでは。では、500円でどうでしょう?大事に飾っておきますよ。
店員:..........
私:もういいです。
そのままスタスタと歩き出る。私の勝ち。あまりにもばかばかしいやり取りをして、疲れましたが、店がある限りまた行こうと思っています。このような店はとっとと閉店してもらいたいですね。
過去に摘発事例があるにも関わらずというのは本当に腹が立ちます。
@匿名さん
その発想力に脱帽です笑
最近また出てきたらしいですね
私は強気な方なのでその場で一刀両断できますが
気弱な人を狙って金稼ごうってのは気に入らないですね
本当に、気弱な人を狙うって最低な行為だと思います。
エウリアンを検索していたらこちらのブログに辿り着きました。
私も今日、秋葉原駅前のラジオ館付近でキャッチされました。
かなり強引に奥に連れてかれそうになったのと名簿の時点で闇を感じましたので、時計を見て急ぐフリをしてサクッと帰ろうとしたのですが、入り口でメガネ拭きとぽすかを勧められました。
もちろん闇を感じていたので買わずに帰りました。
久々にやべーなって感じました。笑
警察に通報したくなりましたもんw
このブログを見て騙されない人が増えるといいですね。
因みにこの業者は過去に《若者に絵画を強引に買わせた》として東京都から行政処分が下っています。こういった業者は裏で暴力団と繋がっているかも知れません。私達の金が暴力団の資金とならないよう気をつけましょう。
しつこい客引きは万世橋警察署に通報!
無理矢理購入させられてしまった場合は「クーリングオフによる購入の取り消し」をしたい旨を伝え、消費者庁に相談しましょう。(参考:http://www.caa.go.jp/info/inquiry.html)
金銭的被害がなかった場合でも、情報提供として消費者庁に相談することをおすすめします。
私も消費者問題に詳しい者ではないので、個別の問題についてはお答え出来かねます。ご了承ください。
いくら拒んでも、帰してくれなかったわ。平然と絵の悪徳商売が横行していて困ってたとか言ってたわー。
おまえらのことだったか。
ただ、本名と住所は記載してきちゃったんだよな・・・。
何かマズいことってありますかね?
>私も昨日2階まで行されましたが、何も買わずに何とか出て来れました。
>
>ただ、本名と住所は記載してきちゃったんだよな・・・。
>何かマズいことってありますかね?
返信いただきありがとうございます。
>もしかしたらその情報を元に新たに怪しい電話とか郵便物とか(送りけ商法とか)来るかもしれないので
うわ、何気に怖いですね。
事前にいろいろ調べて対応策を考えておきたいと思います。
自分はお金に困っているので何も買えない(実際に困ってる)、ということを言ったら、直ぐ帰してくれましたが...(会話は至って普通)
今冷静に考えたらアンケートとか嘘に決まってますよね...
まさにこの場所で若い女性の方に声をかけられました。
時間的余裕が無かったのでお店には入りませんでしたが、
「時間が無いので」という私の返しは最高の返しだったのか…。